名付けた退避路は発火条件まで書く

「フォールバック」「リトライ」「キャッシュ」「バックアップ」——役割名を与えた瞬間に、その経路は 検討済みに見える。名前が仕事をしたと錯覚するので、誰も「それはいつ動くのか」を聞かなくなる。

名付けたら、同じ行に発火条件と見積もった頻度まで書く。書くと2種類の破綻が事前に出る。

  • 実装が無い … 名前だけが存在する。Parabel の翻訳層は Ollama を「フォールバック」と 呼んでいたが、自動で落ちる経路はコードのどこにも無かった(build_translator() は config を見て1つ返すだけ)。fallback の語はコメントとドキュメントにしか無い。
  • 実装はあるが発火しない … 条件を見積もると起きないと分かる。Parabel の 「オフライン時のフォールバック」は、ゲームをする PC がネット断で遊ぶ状況が稀で、 既定の Azure 無料枠が月1万押下ぶんあるため、事実上一度も発火しない。

後者が厄介なのは、発火しない退避路は「有る」ことになったまま検証されない点。存在しない 安全網を勘定に入れた設計判断が積み上がる。

見積もった結果「発火しない」なら、消すか別の理由で残すかを選び直す。Parabel は後者で、 Ollama を残す理由を可用性から訳の質(俗語・世界観をプロンプトで教えられる)へ書き換えた。 理由が変われば設計も変わる——「保険」なら触らないが、「質のため」なら実行中に切り替えたくなる。

名前は仮説であって、検証ではない。

出典:parabel(translators.py の「フォールバック」・2026-08-19 の測り直し)。 関連:動かすためか美しくするためか(何のために作るかを名前でなく目的で問う)